1.住宅ローンのがん保障とは
住宅ローンのがん保障とは、住宅ローン利用者が住宅ローンの返済期間中に死亡や高度障害に加えてがんと診断された場合に、その時点の住宅ローン残高相当の保険金が支給され住宅ローンの返済に充てられる団信です。これにより、住宅ローン利用者はがんと診断されるとそれ以降、住宅ローンを返済する必要はありません。がん保障に加入するために住宅ローン利用者は一般的な住宅ローンの金利に0.2%程度の上乗せした金利を支払います。保険会社への保険料は金融機関が支払い、住宅ローン利用者ががんと診断された際の保険金も金融機関が保険会社から受け取ります。
がん保障はそれ単体で提供されている場合もあれば、他の疾病団信に含まれている場合もあります。下記図の赤の点線で囲われた部分ががん保障です。3大疾病保障、8大疾病保障、11疾病保障といった保障内容の団信にはがん保障が含まれています。
2.がん保険との比較
住宅ローンのがん保障に加入するには、金利を0.2%程度上乗せする必要があります。例えば、金利0.4%の住宅ローンでがん保障を付けた場合、金利は0.2%上乗せされ、0.6%になります。仮に住宅ローンの返済期間を35年とすると、金利上乗せによる毎月返済額の増加分は約2,600円です。
では、毎月2,600円の保険料で入れるがん保険はどれくらいの保障になるのでしょうか。保険加入年齢を40歳、性別を男性とした場合、毎月2,600円の保険料で入れるがん保険は、がんと診断された時に150万円の一時給付金がもらえるものとなります。(ライフネット生命のシミュレーションを利用 https://www.lifenet-seimei.co.jp/plan/)
住宅ローンのがん保障と医療保険としてのがん保険をもらえる保険料で比較すると下記図の通りになります。
上記の通り、住宅ローンのがん保障の場合、がんと診断されるとその時点の住宅ローン残高に相当する保険金が下りるため、仮に住宅ローン借入直後にがんと診断されると3,000万円近い保険金が下りることになります。がん保険と比べると20倍もの保険金になるのです。住宅ローンの残高は返済と共に減少しますが、残高が150万円になるのは33年後ですので、長期に渡って住宅ローンのがん保障の方ががん保険より多くの保険金がもらえることになります。このように住宅ローンのがん保障は医療保険としてのがん保険と比べて圧倒的に割安なのですが、それには理由があります。それについて次項で説明したいと思います。
3.割安になる理由
住宅ローンのがん保障と医療保険としてのがん保険と比べる前に保険の特性について考えたいと思います。保険には、その性質上、逆選択とアドバンテージャス・セレクションという現象が起こることがあり、これが保険料に大きく影響しています。
1.逆選択
逆選択とは情報の非対称性を原因とする一種のモラルハザードで、保険事故の起こりやすいリスクの高い人が保険に加入しがちということです。死亡保険であれば、死亡する確率の高い健康状態の良くない人や危険な仕事に就いている者ほどそのリスクをカバーするために保険に加入しようとする傾向があります。このようにリスクの高い人が保険に加入してくると保険料がどんどん高くなってしまいます。
2.アドバンテージャス・セレクション
こちらは逆選択の逆で、より病気やけがをするリスクの低い人が保険に加入する傾向が強い状態をいいます。将来病気になるリスクを排除したい気持ちが強いために健康である人ほど医療保険に入るケースで、実際の保険市場で確認されている現象です。これが起こると保険料は低くなります。
上記の通り、逆選択が起こると保険料は上がり、アドバンテージャス・セレクションが起こると保険料が下がります。住宅ローンの場合、下記制度的要因及び住宅ローン利用者の行動により逆選択とアドバンテージャス・セレクションが共に保険料を下げる方向に作用していると考えられます。
(1) 住宅ローンを借りるときしか入れない
住宅ローンの団信は住宅ローンを借りる時しか加入できません。加入できるタイミングが限定されているため、入りたい時に入れる一般の医療保険に比べてリスクの高い人が入ってくる可能性が低くなります。
(2) 住宅ローンを借りられる人しか入れない
住宅ローンの団信は住宅ローンが借りられる人しか加入できません。住宅ローンが借りられるということは、金融機関の審査を通過しているということであり、安定した職業に就いていたり、家族がいたりして、生活基盤が確立された人が選ばれているということで、そのような人は健康状態も比較的よいと想定されます。これは意図せざる形でアドバンテージャス・セレクションが起こっていると考えられます。
(3) 繰上返済をする
住宅ローンは繰上返済する人が多く、35年の返済期間であっても20年程度で完済してしまうケースが一般的です。このことによって、下記の通り、死亡率やがん罹患率が急上昇する50代後半に住宅ローン残高が急減するため保険料の支払いが少なくなります。比較的健康な若い間に支払う保険金が無くなってしまうという意味で、これも意図せざる形のアドバンテージャス・セレクションが起こっていると考えられます。
4.死亡率・罹患率の分析
年代別死亡率やがん罹患率は下記図の通りです。40歳で35年間の住宅ローンを借りた場合、約定通りの返済だと50代後半以降も住宅ローン残高が半分以上あります。一方死亡率やがん罹患率はこの辺りから急速に上昇します。もし多くの人が繰上返済をせず、約定返済通りであれば、がん罹患率が上昇する50代以降の保険金の支払いが増えるはずです。しかし現実は多くの人が60歳を目処に繰上返済をして住宅ローンを完済してしまおうとするため、保険金の支払いが減り、結果として保険料が安くなるのです。
※死亡率は国立社会保障・人口問題研究所の下記サイトから引用(https://www.lifenet-seimei.co.jp/plan/)
※がん罹患率は国立がん研究センターの下記サイトから引用(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html)
5.がん保障でおすすめの住宅ローン
医療保険としてのがん保険と比べ、住宅ローンのがん保障付き団信がいかに割安かを説明しました。将来のがんのリスクを考えるのであれば、住宅ローンのがん保障は最大限利用するべきでしょう。がん保障の内容及び金利レベルからおすすめの住宅ローンをご紹介します。
(1)じぶん銀行
じぶん銀行の住宅ローンにはがん50%保障と全疾病保障が無料で付いています。金利水準も業界最低水準です。がんに対するリスクに備え、かつ、金利も節約したい方には最適な住宅ローンといえるでしょう。 [じぶん銀行の住宅ローンについてさらに詳しく]
(2)ソニー銀行
ソニー銀行の住宅ローンはがん100%保障を0.1%の金利上乗せで提供しており、がん保障付き住宅ローンの金利としては業界最低水準です。さらに、ソニー銀行の提供するがん保障は、先進医療給付や診断時の一時金給付が充実しており、住宅ローンのがん保障付き団信の中でも最も手厚い保障が受けられる内容になっています。がん保障を考えるなら最もおすすめできる住宅ローンです。 [ソニー銀行の住宅ローンについてさらに詳しく]
(3)ARUHI
全期間固定金利では、ARUHIが提供するスーパーフラット(フラット35保証型)が、がん保障付きで業界最低水準のフラット35になります。金利リスクを取りたくない方で、がんのリスクも抑えたい方は、ARUHIのスーパーフラットをおすすめします。 [ARUHIの住宅ローンについてさらに詳しく]
モゲチェックでは団信を下記5つの種類に分けて、団信コストを反映した金利でのランキングを用意しています。自分に合った団信でかつ最も金利の低い住宅ローンを探すことができます。
種類 |
内容 |
一般 |
一般団信+無料の疾病団信 |
ワイド |
加入条件が緩和された団信 |
がん− |
がん100%保障未満の疾病団信 |
がん |
がん100%保障以上の最もライトな疾病団信 |
がん+ |
がん100%保障+αの疾病団信 |
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