1. 住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、住宅購入に際し住宅ローンを借りた人が受けられる税控除で、毎年末の住宅ローン残高の1%が10年間に渡り毎年所得税から控除される制度です。
所得税からは控除しきれない部分は、住民税から控除されます。加えて、消費税率10%が適用される住宅の取得をして、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合には、控除期間が3年間延長されます。(現在コロナ対策として入居時期を延長する検討が行われています。)
元本3,000万円の住宅ローンを金利0.45%で借りた場合、住宅ローン残高と住宅ローン控除の金額は、下記グラフの通りになります。
住宅ローン控除の金額は、住宅ローン残高の1%ですので、当初は30万円近い金額で、徐々に住宅ローン残高の減少と共に少なくなります。13年間の住宅ローン控除の総額は約316万円となり、元本の約10.6%となります。
2. 住宅ローンのコスト
住宅ローンのコスト(事務手数料及び金利)はどうなるでしょうか。
元本3,000万円の住宅ローンを金利0.45%で借りた場合、住宅ローン残高と住宅ローンの事務手数料及び金利支払額は、下記グラフの通りになります。
住宅ローンの事務手数料は借入額の2.2%(税込み)、住宅ローンの金利支払額は住宅ローン残高の0.45%ですので、借り入れ当初は事務手数料として66万円、1年目から金利支払額として13万円ほどを支払い、金利支払額は住宅ローン残高の減少と共に徐々に少なくなります。35年間の事務手数料と住宅ローン金利支払額の総額は約310万円となり、元本の約10.3%となります。
住宅ローン控除(マイナス表示)と金利支払額を並べて比較すると下記グラフとなります。
住宅ローン控除は借り入れ後13年間のみですが、住宅ローンの残高が当初の期間は大きいため、住宅ローン控除の総額と住宅ローンのコスト(事務手数料及び金利)の総額はほぼ同じになります。つまり、住宅ローンのコストは住宅ローン控除で相殺され、ほぼ0円※になるのです。
※本分析は下記前提条件の上に行われています。
- 住宅ローンの事務手数料が借入額の2.2%(税込み)である
- 住宅ローンの金利が0.45%である
- 住宅ローン控除額が住宅ローン残高の1%で適用期間が13年間である
- 住宅ローン控除の控除額が最大限利用できるだけの年収がある
3. 住宅ローンの団信とは
住宅ローンには団信という生命保険が付いています。住宅ローン利用者が返済期間中に死亡や高度障害になると、その時点で住宅ローン残高に相当する保険金が下りて住宅ローン残高は0円になります。
団信の保険料は住宅ローン金利の中から金融機関が負担して、保険会社へ支払います。従って、住宅ローンのコストが全て住宅ローン控除により無料になっているとすると、住宅ローン利用者は団信という保険に無料で入れていることになります。
団信で支給される保険金はその時点の住宅ローン残高と同じなので、40歳の時に3,000万円の住宅ローンを金利0.45%で借りている住宅ローン利用者は下記グラフの通りの年齢に応じた保険金が下りる生命保険に無料で加入できていることになるのです。
4. 団信のコスト
住宅ローンを借りること=無料で生命保険に入ること、を説明してきました。
では、この無料で利用出来ている住宅ローンの団信のコストはどれほどのものなのでしょうか。これを一般的な死亡保険と比較して、計算してみたいと思います。
40歳の時に3,000万円の住宅ローンを金利0.45%で借りた場合と同じ40歳で期間30年の1,500万円の死亡保険に入った場合の保険金の比較は下記グラフの通りです。
上記保険に入る場合には男性だと月6,300円程度の保険料を支払う必要があります。これをもし30年間(360ヶ月)支払うとすると合計230万円程になります。保険金の金額が年齢によって異なりますが、住宅ローンの団信の価値はおおよそこの程度あると考えられます。つまり、3,000万円の住宅ローンを借りることで、約230万円かかる保険に無料で入れているということになります。
さらに、総額約230万円の金額を元本3,000万円、返済期間35年の住宅ローンの金利として考えると0.425%程度の金利支払額と同じになります。住宅ローンは0.425%のマイナス金利とも言えるのです。
5. 住宅ローン活用法
上記の分析の通り、住宅ローンは本来230万円程の保険料の保険に無料で入れる、又は0.425%のマイナス金利(金利を支払うのではなく、もらえる)のローンです。それを踏まえた上で最も賢い住宅ローンの活用法は下記の通りになります。
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できるだけ多く借りる
お金を借りながらお金がもらえる状態なので、できるだけ多く借りた方がいいです。自己資金が用意できる方も資金は手元に置いて住宅ローンを目一杯借りるべきです。自己資金を出さないのは住宅ローンの審査上はマイナスになりますが、預金残高を見せるなどすれば金融機関も余裕資金があることを考慮してくれます。
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できるだけ長く借りる
お金を借りながらお金がもらえる状態なので、できるだけ長く借りた方がいいです。つまり、返済期間は35年とし、約定通り返済する。繰上返済はしてはいけません。繰上返済しないからといってその分散財しろと言うことではなく、返済資金はきちんと用意しながら、マイナス金利を享受すべきだと考えます。特に年齢が高くなればなるほど保険の価値は高まりますので、住宅ローンの残高はできるだけ維持するようにしましょう。
モゲチェックでは団信を下記5つの種類に分けて、団信コストを反映した金利でのランキングを用意しています。自分に合った団信でかつ最も金利の低い住宅ローンを探すことができます。
種類 |
内容 |
一般 |
一般団信+無料の疾病団信 |
ワイド |
加入条件が緩和された団信 |
がん− |
がん100%保障未満の疾病団信 |
がん |
がん100%保障以上の最もライトな疾病団信 |
がん+ |
がん100%保障+αの疾病団信 |
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