1. データ項目
借り入れ可能額を計算するためのデータ項目及び内容は下記の通りです。
No. |
項目 |
内容 |
1. |
年齢 |
借り入れ時の年齢、20歳以上65歳以下 |
2. |
年収 |
前年度年収 |
3. |
業種 |
(例)公務員、金融、不動産、運輸、‥ |
4. |
職種 |
(例)管理職、専門職、接客、事務、‥ |
5. |
雇用形態 |
(例)正社員、会社役員、自営業、契約社員、‥ |
6. |
従業員数 |
(例)1,000人以上、100人未満、10人未満、‥ |
7. |
勤続年数 |
(例)1年未満、2年未満、2年以上 |
8. |
婚姻 |
既婚、未婚 |
9. |
扶養家族数 |
同居扶養家族の人数 |
10. |
その他負債 |
住宅ローン以外の借り入れの合計額 |
11. |
物件所在地 |
購入予定物件の所在する都道府県 |
12. |
自己資金 |
自己資金の金額 |
2. 考え方
借り入れ可能額の計算の背景にある考え方を簡単に説明します。まず住宅ローン返済の原資は年収なので、その収入がどれほど確からしいかを評価します。次にその年収からどれくらいの金額を住宅ローンの返済に回せるのかを考えます。最後に収入が持続する期間や収入に対する不動産価格の相対的な水準、自己資金の多寡などを加味して最終的な借り入れ可能額が計算されます。整理すると下記の通りです。
(1) 年収の評価
住宅ローンの返済原資は年収です。ただ、同じ年収でも、その確からしさは異なります。会社が潰れたり、降格されたり、解雇されたりして、ある時から年収が減少したり、無くなったりするリスクがあります。年収の確からしさは業種、職種、雇用形態、従業員数及び勤続年数によって評価されます。同じ5百万円の年収でも、最近採用されたアルバイトの人と勤続10年の公務員では評価は全く異なります。
(2) 住宅ローンの返済へ回せる割合
年収の確からしさの次に、その何割を住宅ローンの返済に充てられるかを考える必要があります。一般的に年収が低いほど住宅ローンの返済に充てられる割合は下がります。年収が低くなるほど衣食住といった生活の維持にかかる費用の割合が増えるからです。扶養家族が増えると生活費が増加し、住宅ローンの返済に充てられる割合は下がります。さらに住宅ローン以外のローンを借りている場合、その返済分も住宅ローンの返済に充てられる原資を減らす要因になります。
(3) 返済可能期間
年収が見込める期間です。多くの人が60歳〜70歳の間に定年を迎えますので、その歳に近づけば近づくほど年収が見込める期間は短くなります。
(4) その他
上記以外では物件所在地と自己資金を考慮する必要があります。都道府県によって一般的な年収に対する不動産価格の割合が異なるため、物件所在地を分析に反映させています。例えば、東京都の場合、新築マンションの価格が平均年収の10倍近くになっており、より多くの借り入れをしないと購入できない状況です。また資産価値が地方より落ちにくいといった事情もあります。こういった市場環境は金融機関の審査基準に反映され、結果として東京の方が地方より住宅ローンの借り入れ可能額が大きくなります。また自己資金を多く用意する住宅ローン利用者は将来デフォルトする確率が低いことがデータで裏付けられています。また、自己資金が多い方が、将来デフォルト(貸し倒れ)した場合の回収率が高くなるので、結果として住宅ローンの借り入れ可能額が増えます。
3. 金利水準
モゲチェックのスコアリングモデルは単に借り入れ可能額だけではなく、「ベースローン」と呼ぶ金利タイプと金融機関セクター別に一般化された適用金利の水準も計算します。下記表の通り、住宅ローンの金利帯を5つの金利タイプと6つの金融機関セクターに分けて、合計30パターンの金利を毎月更新しています。ベースローンの種類と対応する金融機関セクターは下記の通りです。
ベースローン |
金融機関セクター |
α0 |
ネット系銀行 |
α1 |
メガバンク |
α2 |
地銀 |
α3 |
信金 |
β0 |
フラット35 |
β1 |
特殊 |
ベースローンα |
ベースローンβ |
|||||
0 |
1 |
2 |
3 |
0 |
1 |
|
変動金利 |
0.450% |
0.500% |
0.550% |
0.650% |
0.850% |
3.800% |
5年固定 |
0.600% |
0.700% |
0.800% |
0.900% |
0.975% |
4.000% |
10年固定 |
0.800% |
0.900% |
1.000% |
1.100% |
1.150% |
4.200% |
20年固定 |
1.200% |
1.225% |
1.250% |
1.300% |
1.350% |
4.400% |
35年固定 |
1.300% |
1.325% |
1.350% |
1.375% |
1.400% |
4.600% |
(2020年8月時点)
借り入れ可能額と適用金利が分かると、下記の通り、ExcelのスプレッドシートのPMT関数を使って毎月の返済額を簡単に計算することができます。(毎月の返済額を計算するので、金利は年利の1/12を、返済期間は月数を入れることに注意しましょう。)
毎月返済額=PMT(金利、返済期間、住宅ローン借入額)
4. 例
では、上記で説明したスコアリングモデルを使って実際に借り入れ可能額、適用金利、毎月返済額の計算を3つのケースで行ってみましょう。比較しやすいよう、年齢、年収、勤続年数、婚姻、扶養家族数及びその他負債は同じにしました。
Aさん |
Bさん |
Cさん |
|
状況 |
東京で家を買う大手金融会社勤務のサラリーマン |
福岡で家を買う中堅メーカー勤務のサラリーマン |
北海道で家を買う観光業の自営業者 |
年齢 |
35歳 |
35歳 |
35歳 |
年収 |
700万円 |
700万円 |
700万円 |
業種 |
金融 |
製造業 |
飲食・宿泊業 |
職種 |
管理職 |
事務 |
管理職 |
雇用形態 |
正社員 |
正社員 |
自営業 |
従業員数 |
1,000人以上 |
100人未満 |
10人未満 |
勤続年数 |
2年以上 |
2年以上 |
2年以上 |
婚姻 |
既婚 |
既婚 |
既婚 |
扶養家族数 |
2人 |
2人 |
2人 |
その他負債 |
なし |
なし |
なし |
物件所在地 |
東京都 |
福岡県 |
北海道 |
自己資金 |
500万円 |
200万円 |
200万円 |
分析の結果は下記の通りです。
Aさん |
Bさん |
Cさん |
|
状況 |
東京で家を買う大手金融会社勤務のサラリーマン |
福岡で家を買う中堅メーカー勤務のサラリーマン |
北海道で家を買う観光業の自営業者 |
借り入れ可能額 |
6,120万円 |
3,740万円 |
2,710万円 |
適用金利 |
0.45%(変動金利) |
0.55%(変動金利) |
1.40%(固定金利) |
毎月返済額 |
157,500万円 |
98,000万円 |
83,000万円 |
年収倍率 |
8.7倍 |
5.3倍 |
4.0倍 |
DTI(返済比率) |
27% |
17% |
14% |
Aさんは、金融機関の審査が通り易い典型的な属性です。業界自体が安定しており、かつ企業規模も大きく、自己資金も用意している点が評価されます。ネット系銀行でも借り入れ可能でしょう。Bさんの場合は中堅メーカーで勤務先は安定していますが、物件所在地や職種、さらに自己資金の金額からAさんほどは借りられないと判断されます。年収倍率の5倍程度の借り入れ可能額は平均的な水準で、地銀の融資対象でしょう。Cさんはやや厳しい属性です。まず自営業なので、給与取得者に比べると審査が圧倒的に厳しくなります。ネット系銀行は基本的に難しいと考えた方がいいでしょう。この属性の住宅ローン利用者に適しているのはフラット35で、住宅金融支援機構という公的機関がローンを買い取るため、審査基準が民間金融機関のローンに比べ柔軟です。ただ、金利が全期間固定なので、1%台と高くなります。このように同じ年収でも住宅ローン利用者の属性によって、借り入れ可能額は2倍程度の開きが出てきますし、適用金利も大きく違ってくるのです。ぜひあなたの借入可能額をチェックしてみて下さい。モゲチェックであなたの借り入れ可能額証明書「モゲパス」を発行するサービスを行っています。
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5. 前提条件
モゲチェックのスコアリングモデルは最小限の情報で借り入れ可能額を推定するため、以下の前提条件を仮定しています。これらの条件に当てはまらない住宅ローン利用者には正確な数字を返すことができませんので、ご注意下さい。
(1) 物件価格と金融機関の評価額に大きな乖離がないこと。
(2) 年収が3百万円以上であること。
(3) 勤務先や経営する会社が過去3年間赤字ではないこと。
(4) 過去にデフォルトや延滞を起こしていないこと。
(5) 日本国籍又は永住権を持っていること
(6) 投資用不動産取得のための借り入れを行っていないこと。
(7) 10百万円以上の借り入れを行っていないこと。
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種類 |
内容 |
一般 |
一般団信+無料の疾病団信 |
ワイド |
加入条件が緩和された団信 |
がん− |
がん100%保障未満の疾病団信 |
がん |
がん100%保障以上の最もライトな疾病団信 |
がん+ |
がん100%保障+αの疾病団信 |
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