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住宅ローンの金利リスクについて考えてみよう

  • 最終更新日: 2020年11月27日

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モゲチェック
住宅ローンの金利リスクについて考えてみようのアイキャッチ

住宅ローンの金利リスクについて考えてみましょう。住宅ローンの金利リスクとは、「将来住宅ローンの金利が上がって、住宅ローンの返済ができなくなるリスク」です。変動金利型や固定特約型だと、金利が将来上がる可能性があります。住宅ローンは金額が大きく、かつ、長期に渡って返済していくため、漠然と将来金利が上がったら怖いと感じている人が多いのではないでしょうか。一方で、現在住宅ローンは変動金利だと0.3%台、全期間固定だと1.3%台の金利水準ですので、最初から金利を固定化するかしないかで、約1%の金利差があります。1%の金利差は35年の返済期間で考えると総返済額で約19%、3,000万円の住宅ローンで約570万円の差になります。これだけのコストをかけて金利リスクの無い全期間固定金利にすべきか、金利リスクを取って変動金利で借りるか、あるいはその中間の10年や20年の固定特約にするか、重要な、しかし難しい選択をしなくてはいけません。その選択の参考にして頂くため、ここでは住宅ローン利用者が金利リスクについてどのように考えるべきかについて説明します。

目次
  • 1. 金利リスクとは
  • 2. 住宅ローンの金利リスク量
  • 3. 金利は上がるのか
  • 4. 金利リスクを緩和するメカニズム
  • 5. 適切な金利リスクとは

1. 金利リスクとは

冒頭に記載した通り、金利リスクとは「将来金利が上がって、住宅ローンの返済ができなくなるリスク」です。ただ、返済はできても金利上昇により当初予測していたよりも金利支払いが増え、固定金利と比べてより多くの金利を払わなくてはいけなる状態も広い意味でリスクと言えるでしょう。では、まずその金利リスクのリスク量について考えてみたいと思います。

 

2. 住宅ローンの金利リスク量

住宅ローンの金利リスクを計量化したものをリスク量といいます。住宅ローンのリスク量は、下記式の通り、「1%金利が上がった時に金利支払総額が当初借り入れ額に対して何割増えるか」で計測します。

住宅ローンの金利リスク量=1%金利上昇時の金利支払額の増加額÷当初借り入れ額

3,000万円の変動金利型住宅ローンを借りていて、仮に金利が1%上がったとすると、金利支払額は1年で30万円近く多くなります。30万円近くと書いたのは、住宅ローンは元利均等払いで返済しており、毎月少しずつ残高が減っているため、正確には30万円より少なくなるためです。住宅ローンの金利リスク量は住宅ローンの残高とともに毎月低減していきます。元本3,000万円、期間35年、金利0.425%の住宅ローンのリスク量の変化を示したのが下記グラフです。借り入れ直後は約19%だったリスク量が、5年後に15%、10年後に10%、20年後に5%程度になります。5年後のリスク量とは5年間固定金利にした場合のリスク量と同じなので、この15%、10%、5%というのがそれぞれ5年固定特約、10年固定特約、20年固定特約のリスク量に相当します。金利リスクは、10年固定特約で変動の約半分、20年固定特約で変動の約4分の1になるわけです。毎月残高が減っていることと徐々に返済期間が短くなっていることがリスク量の低減を早めています。金利リスクは、時間と共に急速に低減していくのです。

次に、借入時から各時点までの金利の累積支払額が35年間全体の支払額に占める割合をグラフ化すると下記の通りになります。下記グラフの通り、住宅ローンの金利は最初の10年間に全体の約半分、借入から20年で全体の約8割を支払ってしまうのです。残高の大きい初期の段階での金利が重要で、残高の減少と共に金利支払額も低減していきます。よく10年後、20年後の金利を気にする人がいますが、大事なのは借入時から最初の10年間であって、10年後、20年後の金利はそれほど重要ではありません。

3. 金利は上がるのか

将来住宅ローンの金利は上がるのでしょうか。また、上がるとするといつから上がるのでしょうか。将来の金利を正確に予測できる人はいませんが、市場で取引されている金利から将来の金利を「理論的に導くこと」はできます。変動金利型の住宅ローンの金利は金融機関が決める短期プライムレート(以下、短プラ)を基準に決められているため、住宅ローンの将来の金利が上がるかどうかは、短プラが将来上がるかどうかで決まります。短プラ自体は市場金利ではないので、将来の理論値を計算することはできませんが、短プラと相関の高いLIBOR(ロンドン・インターバンク・オファーレート)を使って間接的に将来の短プラの理論値を計算することができます。

[将来金利予測の方法についてより詳しく]

モゲチェックが予測する住宅ローンの将来金利は下記の通りです。

[将来金利予測についてより詳しく]

住宅ローンの金利は、将来それほど大きく上昇しません。かつ金利が上昇し始めるのは相当先であって、それまでは今の水準が維持されます。なぜこのような結果になるかというと、現在市場で取引される長期金利が短期金利とほとんど同じ水準にあるからです。長期金利と短期金利に差がないということは、市場が将来短期金利は上がらないと考えているということです。

では、なぜ金利は上がらないのでしょう。日銀がマイナス金利を導入してもうすぐ5年が経とうとしています。インフレターゲットとして物価上昇率2%を掲げてなりふり構わぬ金融緩和をしても未だにインフレの兆候はありません。むしろ最近はコロナ禍でデフレ圧力が強まっています。財政出動と金融緩和はさらに継続する必要があるでしょう。しかし、それでも物価を上げるのは難しいと思います。物価が上がらなければ金利は上がりません。なぜ物価は上がらないのでしょうか。

一番の原因は少子化です。下図の通り、日本の人口は今後減少していきます。人が減っている国ではインフレは起こりません。人が減るということは総体的に物やサービスに対する需要が減りますので、デフレにこそなれ、インフレにはなりません。人が減っている中、いくら金融緩和をしてお金の量だけ増やしても物価は上がらず、金利も上がらないのです。それほど人口の減少が経済に与えるインパクトは強く、インフレにする為には人を増やす必要があります。ただ、それはそんなに簡単ではないし、すぐにできるものでもありません。今の人口減少が今後も続くのであれば、金利は上がらないでしょう。

(出典:人口推移(2020年8月報)総務省統計局)

4. 金利リスクを緩和するメカニズム

では、仮に金利が上がるとして、どれだけ金利が上がると返済できなくなるのでしょうか。具体的な分析の前に確認しておきたいのが、変動金利型の住宅ローンには、金利が上昇しても住宅ローン利用者がすぐに返済に困らないよう下記2つの金利上昇リスクを緩和するメカニズムがあるということです。

(1) 5年間返済額一定

変動金利型の住宅ローンの金利は、多くの場合4月1日と10月1日の年2回改定のタイミングがあります。4月1日に決められた金利が6月1日から11月30日までの期間、10月1日に決められた金利が12月1日から5月31日までの期間の金利計算に使われます。

ただ、仮にその時点で金利が変更されてもすぐに毎月の返済額が変わるわけではありません。実は住宅ローンの毎月返済額は5年に一度しか変更されません。金利が変更されると毎月返済額の金利部分はそれに応じて変わりますが、その分元本返済額が調整されて、毎月の返済額は5年間変わらないのです。もし金利が上昇すると単に元本返済分がその分減少するだけです。つまり元本返済が金利増加分先送りになります。そして5年後の毎月返済額の見直しのタイミングで、その時点の残高、金利、返済期間で新しい毎月返済額が決められるのです。

(2) 返済額変更の上限

5年毎にリセットされる毎月返済額ですが、金利が上がって増額された場合も、直前の毎月返済額の25%以上増えないというルールがあります。例えば毎月返済額が10万円の場合、どれだけ金利が上昇しても次に決められる毎月返済額は12.5万円が最大で、それより大きくはなりません。ではその分金利が減免されているかというとそうではなく、もし金利だけで12.5万円を超過している場合はその超過分は未払い利息として元本に加えられ、元本が増えます。最終的には当初借りた金額より多くの元本を返さなくてはいけなくなることも起こり得るのですが、このルールがあるため、ある時急に毎月の返済額が2倍になるといったことは起こらないのです。

上記(1)5年毎の返済額変更と(2)返済額上昇の上限によって、急激な金利上昇があっても元本返済の先送りという形で負担が軽減されるため、金利上昇によって住宅ローンの返済ができなくなるリスクは相当程度緩和されているといえるでしょう。

 

5. 適切な金利リスクとは

上記分析の通り、将来金利が上昇する可能性は非常に低く、仮に上昇したとしても、それによって住宅ローンの返済ができなくなるようなリスクは非常に小さいことが分かりました。では、結論としてどのような人であれば金利リスクのある変動金利型住宅ローンを借りてよくて、どのような人が金利リスクの低い固定特約や全期間固定金利を借りるべきなのでしょうか。一つ参考になるのが、金融機関の審査基準として重要なDTI(返済比率)(返済比率)の考え方です。下記表の通り、金融機関は住宅ローンの審査時に年収毎に年収に対する住宅ローン返済に充てられる金額の割合を決めていて、それを超過していないか確認しています。つまり、金融機関は住宅ローン利用者のDTI(返済比率)(返済比率)が下記規準を満たしていれば返済できると考えているわけです。

年収

3百万円未満

4百万円未満

7百万円未満

7百万円以上

上限DTI

(上限返済比率)

25%

30%

35%

40%

年収5百万円の人が元本3,000万円、期間35年、金利0.425%の住宅ローンを借りていたとします。この人が他に借り入れをしていなかったとして、DTI(返済比率)を計算してみましょう。まず、元本3,000万円、期間35年、金利0.425%の毎月返済額は76,557円となりますので、その12倍を年収で割ると18.37%となります。金融機関の審査基準では年収5百万円の人の上限DTI(返済比率)は35%なので、この人はそれに収まっており、安全といえます。

年収

500万円

住宅ローン残高

3,000万円

返済期間

35年

金利

0.425%

毎月返済額

76,885円

DTI(返済比率)(返済比率)

18.37%

では、仮に金利が1%上昇したとするとどうでしょうか。下記表の右列に金利上昇時の毎月返済額及びDTI(返済比率)を表示しました。金利が1%上昇して1.4%になり、毎月返済額は90,393円となりますので、その12倍を年収で割ると21.69%となり、依然上限DTI(返済比率)は35%を下回っており安全です。

金利

0.425%

1.425%

毎月返済額

76,885円

90,757円

DTI返済比率)

18.45%

21.78%

では、この人の場合、金利が何%上昇すると返済が厳しくなるのでしょうか。金利上昇とDTI(返済比率)の関係を示したたものが下記グラフです。金利が4.475%近辺まで上昇して初めてDTI(返済比率)が35%にヒットします。つまり、この人は4%以上の金利上昇に耐えうる耐久力があると言えます。

モゲチェックでは、現在予測される招来の住宅ローン金利の理論値から、金利耐久力が1%以上あれば安全だと考えます。つまり今瞬間的に金利が1%上がった場合に、年間の住宅ローン返済額が上記上限DTI(上限返済比率)以内に収まっていればいいのです。毎月返済額を計算するシミュレーションを使ってご自身の金利リスク耐久力を計算してみることをおすすめします。

[毎月返済額のシミュレーションについてさらに詳しく]

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WRITER

著者: 中山田 明

モゲチェック運営会社 株式会社MFS

CEO

外資系証券会社で日本初の住宅ローン証券化に参画。その後約10年に渡り住宅ローン証券化業務に従事。テクノロジーによる新しい住宅ローンサービスを生み出すべくMFSを創業。

SUPERVISOR
supervisor

中山田 明

株式会社MFS代表取締役CEO

プロフィール

外資系投資銀行で日本初の住宅ローン証券化を手掛け、その後約10年に渡り住宅ローン証券化業務に従事してきた、日本における住宅ローンファイナンスのプロフェッショナル。フラット35を取り扱うSBIモーゲージ(現:SBIアルヒ株式会社)ではCFOを歴任。テクノロジーによる新しい住宅ローンサービスを生み出すべくMFSを創業。「住宅ローンを必要とする全ての人が、最も有利な条件で借り入れ、借り換えできる」世界の実現を目指す。

趣味は登山で、テントを背負って槍ヶ岳や剱岳、海外ではキリマンジャロやキナバル山に登頂。

経歴

  • 1991年3月 東京大学経済学部学部 卒業
  • 1991年4月〜 三井物産株式会社 入社
  • 1993年7月〜 モルガン・スタンレー、ベア・スターンズなど外資系投資銀行を歴任
  • 2000年8月〜 株式会社新生銀行(現:SBI新生銀行)キャピタルマーケッツ部部長
  • 2011年8月〜 SBIモーゲージ株式会社(現:SBIアルヒ株式会社)CFO
  • 2014年10月〜株式会社MFS創業

主な保有資格

貸金業務取扱主任者

登壇実績

  • 2021年9月 金融DXサミット(日本経済新聞主催)等 登壇実績多数
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