1. 変動
住宅ローンの最もスタンダードな金利タイプです。金利が定期的に見直されるため、将来金利が変わる可能性があります。
一般的な変動金利の条件は下記の通りです。
(1) 金利更改日
4月1日と10月1日の年2回です。
(2) 金利適用期間
4月1日の金利が6月1日から11月末までの6ヶ月間適用され、10月1日の金利が12月1日から5月末までの6ヶ月間適用されます。
(3) 毎月返済額の変更
金利が変わってもすぐに毎月の毎月返済額(元利均等払いの場合の元本と金利の合計額)が変わるわけではありません。毎月返済額は5年に1度しか変更されず、毎月返済額中の金利部分のみが新しい金利によって変わります。例えば、金利が上昇した場合は毎月返済額の金利部分が増加し、それと同額元本返済部分が減少します。
(4) 毎月返済額変更の上限
毎月返済額は5年に1度変更されますが、当該変更時点以前にいかに金利が上昇していたとしても毎月返済額自体は最大25%までしか増えません。例えば毎月10万円の返済をしていた場合、金利が大きく上昇していても毎月返済額は12.5万円までしか増えません。急激な支払額の増加による住宅ローン利用者の負担を軽減する仕組みですが、金利が減免されている訳ではなく、仮に金利だけで12.5万円を上回っていた場合は払いきれなかった金利は元本となって元本が増加し(ネガティブアモチゼーション)、返済期間のどこかの段階で支払うことになります。
(5) 基準金利
変動金利のベースとなる住宅ローン基準金利(以下、基準金利)は短期プライムレート(以下、短プラ)+1%です。現在メガバンクの短プラは1.475%ですので、多くの金融機関で使われている住宅ローン基準金利は2.475%になります。住宅ローンの基準金利が短プラをベースに決まっているため、短プラの動きが変動の住宅ローン金利の動きを決めています。通常ある月に実行されるローンの基準金利は、当該月の第一営業日に発表されます。
(6) 適用金利
基準金利から引き下げ幅(優遇幅)を控除したものが適用金利(実際に住宅ローン利用者が支払う金利)となります。例えば、基準金利が2.475%で引き下げ幅が2%の場合、適用金利は0.475%になります。引き下げ幅は金銭消費貸借契約(以下、ローン契約)をする際に決定し、以後満期まで変更されません。引き下げ幅は住宅ローン利用者の属性や借りた時期によって異なるため、同じ金融機関の変動金利の住宅ローンを借りていても住宅ローン利用者によって適用金利が異なることがあります。また、最近のように新規に借りる人の適用金利が下がっていても(引き下げ幅が拡大していても)過去に借りた人は関係なく、基準金利が変わらない限り支払う金利に変化はありません。
(7) 固定特約への変更
変動で住宅ローンを借りるとずっと変動と思われがちですが、変動から固定特約へはいつでも変更できます。
2. 固定特約
ベースは変動なのですが、一定期間の金利を固定化したものを固定特約又は固定選択といいます。当初期間金利を固定化する特約を住宅ローン利用者と金融機関で結ぶため、このように呼ばれています。
一般的な固定特約の条件は下記の通りです。
(1) 固定期間
提供される固定期間は1年から35年まで様々な期間あり、金融機関によって異なります。固定期間の途中で変動金利や他の固定期間に変更することはできません。固定期間が終了した場合、原則変動になりますが、その時点で再度固定期間を選んで金利を固定化することもできます。
(2) 基準金利
固定期間の金利水準は当該期間に対応する基準金利をベースに決まります。基準金利はスワップレートに連動しています。金融機関は短期金利で調達しており、短プラベースで貸し出す変動なら問題ありませんが、固定特約の場合将来の短期金利上昇のリスクをヘッジするため、下図の通りスワップを使って変動に転換する必要があるからです。
住宅ローンの場合毎月元本返済があるため、固定期間と同じ期間のスワップ金利を使う訳ではなく、期中の元本返済分を勘案して固定期間より若干短い期間のスワップ金利使います。
(3) 適用金利
各固定期間に対応する基準金利から引き下げ幅(優遇幅)を控除したものが適用金利となり、実際に住宅ローン利用者が支払う金利となります。例えば、固定期間5年の基準金利が2.75%で引き下げ幅が2%の場合、固定期間5年の適用金利は0.75%になります。
(4) 引き下げ幅に関する注意点
固定特約を選ぶ際に注意したいのは、固定期間後の引き下げ幅です。固定期間後は変動又は再度固定特約を選択することが可能ですが、その際適用される引き下げ幅は当初の引き下げ幅と異なる場合があります。特に、「当初引き下げ型」といった名称の金利タイプの場合、当初の固定期間だけ引き下げ幅を大きく、その後の引き下げ幅が小さいケースが多いので注意が必要です。
3. 全期間固定
文字通り満期まで金利が固定化されている金利タイプです。毎月返済額が満期まで変わらないので安全です。一方、変動より金利水準が高いので、金利負担が大きくなります。
(1) 取扱金融機関
全期間固定として代表的な商品が、住宅金融支援機構(以下、機構)が民間金融機関から買い取るフラット35です。フラット35は全国の多くの金融機関で取り扱っていますが、ARUHIなどフラット35に特化した貸金業者(ノンバンク)が高いシェアを占めています。民間金融機関でも独自に全期間固定のローンを提供しているところもあります。
(2) 金利決定方法
フラット35の金利はフラット35を買い取る住宅金融支援機構が発行する住宅ローン担保証券(MBS)の利回りをベースに決定されます。当社の分析では、当該証券の利回り+1%程度がフラット35の金利になるようです。
民間金融機関が提供する全期間固定は15年超のスワップレートを参考に基準金利を決めているようです。金融機関によってはフラット35より低い金利の全期間固定を提供しているところもあります。
4. 金利タイプの選び方
変動、固定特約、全期間固定と3つの金利タイプについて説明してきましたが、住宅ローン利用者はどの金利タイプを選ぶべきでしょうか。現在の金利水準と将来金利が上がるリスクの関係は下記の通りです。
変動 |
固定特約 |
全期間固定 |
|
金利水準 |
0.4〜0.6% |
0.6〜1.0% |
1.3%〜 |
金利リスク |
高い |
中程度 |
なし |
金利タイプの選択には、変動金利型住宅ローンの将来金利がどうなるかが非常に重要です。将来の金利予測及び金利リスクについて別の記事で詳しく説明していますので、ぜひ参考にして下さい。
モゲチェックでは団信を下記5つの種類に分けて、団信コストを反映した金利でのランキングを用意しています。自分に合った団信でかつ最も金利の低い住宅ローンを探すことができます。
種類 |
内容 |
一般 |
一般団信+無料の疾病団信 |
ワイド |
加入条件が緩和された団信 |
がん− |
がん100%保障未満の疾病団信 |
がん |
がん100%保障以上の最もライトな疾病団信 |
がん+ |
がん100%保障+αの疾病団信 |
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